Half ーおまけー


 昼休みの、生徒会室。
 あたしは副会長の手伝いを口実に転がり込んで、れいかと二人でお弁当を広げていた。
「……あ」
 ふとれいかのお弁当を見ると、チクワが入っていた。4本で98円の安っぽいチクワじゃなくて、一本がもっと大きい、竹輪、っていう感じのやつ。もしかしたら、買ったときは本当に穴に竹とか入ってたかもしれない。そんなの。
「……なお?」
 れいかは箸を止めて、首を傾げた。
「……そういえば」
 あたしは、自分のお弁当箱からチーズちくわをつまみ上げ、
「何ですか?」
「ポップが、あたしとれいかのこと『チクワの友』って言ってたんだけど」
 そのちくわを、じろじろと、穴があくほど見つめた。……や、穴は最初からあいてるけど、ってか、チーズで塞がってるけど。
「もしかして、このことだったのかな……? だとしたら、何で知ってたんだろ、今日のお弁当のおかずのこと」
 そしてあたしは、れいかのお弁当箱の高そうな竹輪を指さした。

 ―――それから、たっぷり五分。
 れいかはお弁当を中断し、声を殺して笑い続けた。
 口を手で覆って、肩を震わせ、涙まで流して。

「……ちょ、れいか、笑いすぎ」
「……っ、ごめんなさ……っ……けど……」

 当然ながら、その昼休みは、生徒会の仕事は全く進まなかった。

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ちくば‐の‐とも【竹馬の友】
 幼いころに、ともに竹馬に乗って遊んだ友。幼ともだち。幼なじみ。

《fin.》

  


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