ソフトクリーム!

tetsu

  

「おなかすいたね〜」
 まことが秘密基地に向かう途中で突然そんなことを言い出した。
 食べ盛りの中学生だし、放課後のこの時間にお腹が空くのは当然と言えば当然だろう。
 ニッコリと亜美を見下ろすまことは一つの提案をした。
「ね、何か食べてこっか!」
「ん…ソフトクリーム!」
「アイス!」
「えぇ…?」
「アイス!」
「ソフトクリーム!」
「ヤダぁ〜」
 そんなやりとりが急にオカシくなったのか、ふふっと顔を見合わせて笑い声をあげる2人。

「ここのね、ソフトクリーム食べたかったんだ!」
 亜美の笑顔に負けたまことは、一緒にソフトクリームの列に並んでいた。
「へぇ?しっかしこのソフトクリームの置物って、何でだかそそるよね」
 ぽんぽんと店頭に置いてある大きなソフトクリームをたたく。
「アイス屋より先にコイツに出会っちゃったもんなぁ_」
 まことが早速注文する亜美を見てニコニコと微笑む。
「はい!まこちゃん!抹茶でよかったよね?」
「さんきゅ」
 受け取るまことと共にすぐそばのベンチに腰を下ろす。
「おいしい!」
 一口なめてまことの口から洩れた感想がそれだった。
「ね?ソフトクリームにしてよかったでしょ?」
 すっごく嬉しそうにまことを見上げる亜美をかわいいなぁと思い、微笑む。
「ま、今日のところはね…亜美ちゃんの何味?」
「いちご!はい!」
 自分のソフトクリームをまことの前に差し出す。
「いいの?」
「うん!」
 へへっと一口ペロリとなめる。
「あ、おいしいねコレも」
「うん」
「はい」
 お返しにまことも抹茶を差し出す。
 亜美も一口。
「おいしいね」
 亜美ちゃんて…こんな笑顔するんだ。
 かわいいな。
「あ、そうだ、亜美ちゃん」
「ん?」
「あたしらばっかりオイシイもの食べてきたってバレたらさ、うさぎたちきっと怒るから、このことはナイショにしようね」
 まことは唇に人差し指を立ててシーっと合図をする。
「うん!ナイショね!」
 亜美もまことの真似をして唇に人差し指を立てると嬉しそうに笑う。
「明日はアイスに付き合ってね」
「うん!」

------ソフトクリーム!・終

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